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NHK『無縁社会』に思うこと

NHKのシリーズ『無縁社会』を見た。このシリーズは基本的には好きじゃないのだが、見ないであれこれ文句を言うのもフェアじゃないかな、などと思って、ほぼ毎回見ている。

まず思ったことは、回を重ねるごとになんだか『無縁』の定義がどんどん拡大しているんじゃないかということ。

確か最初の頃は「無縁死」のような、割と個別具体的な問題がクローズアップされていたと思うのだが、今日の放送を見ると、仕事があっても無くても、家族と暮らしていても、一人暮らしでも、年を取っていても若くても、ともかく本人が

・誰からも支えられていない
・誰からも必要とされていない

と感じたら、「あなたも立派な無縁!」とでも言いたい感じだった。

少々意地の悪い見方かもしれないが、「無縁社会」を何とかしなければ、という問題提起というよりは、「あなたも気づいてないだけで、実は無縁になっちゃう可能性があるんだよ。」と不安感を煽ることで、番組への注目を高めようという意図があるんじゃないか、とさえ思えるような内容だった。

実際、「なぜ無縁なのか」という話については、「仕事が無い」「やり甲斐のある仕事が与えられない」「介護が大変」など、その理由は多岐に渡る。

もちろん、雇用機会の減少、失業者や非正規雇用者に対するセーフティネットの不備、未婚や少子化、介護保険制度の欠陥等々、今の日本には様々な問題があり、その狭間で社会的な救済を必要としている人が生まれているのは事実だ。だが、それらをすべて「無縁」という問題でひとくくりにしようとするから、議論がおかしくなる。

実際、番組の終盤で、出演していたパネリストの「無縁社会を変えるためには、自分は認められている、と人々が実感できるような社会を創り出すことが必要」と発言に対して、一般の参加者の中から「自己実現だけじゃメシは食えないよ」という反論が出て、議論はグズグズに。でも、今日のテーマは「社会とのつながりを感じられない無縁社会」というココロの問題だったんじゃないの?と思わず苦笑。

Twitter上では「自己責任」を唱えた企業経営者に、「弱者はどうなってもよいのか」「自己中心的で身勝手」といった批判的なコメントも多く寄せられていた。だが、私がみる限り、この経営者は「無縁と感じるかどうか」という点について話をしただけであって、雇用や介護など「社会制度」の問題について「自己責任で解決を」といった訳ではないと思う。

だが「社会とのつながりを感じられるのか」という心の問題と、「雇用やセーフティネットの整備」という制度の問題を、「無縁」というテーマのもとに、無理矢理、一緒に議論するから、こうなってしまう。

やはりNHKには、政治・経済や自然界の「事実」だけを愚直に追いかけるドキュメンタリーが合っている、と思うのは私だけだろうか。

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