以前、採用や人材育成専門のコンサルティング会社に頼んで、採用したい人材を適確に見分けるための面接手法について、特訓をしてもらったことがある。その時、徹底して言われたのは「人はやったことが無いことは出来ない」ということだ。

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だから、「この会社に入ったら何をしたいか?」とか「どんな貢献ができると思うか?」といった「未来」に関する質問は、少なくとも、面接に来た候補者の適否を見極める上では、全く意味の無い質問であると言われた。
なぜなら、ちょっと気の利く候補者なら、「未来」のことについては、立て板に水のごとく、予め暗記してきた「原稿」をスラスラと話すことができるからである。
では、面接を受ける側は、こういう企業側の戦略に対して、どう臨むべきなのか。答えは一つ、「やったことがあること」を自ら努力して広げて、経験値を上げていくしかない。
特に気をつけたいのは、ルーティーン化された仕事をこなして、つい仕事をした気になってしまうことだ。ルーティーン化された仕事というのは、自分に任された領域であり、手順も熟知しているので、余り考えなくとも非常に効率的に仕事ができ、成果も出しやすく、そして、評価もされやすい。要するに非常に費用対効果が高いのだ。
一方、そこに安住してしまうと「やったことがあること」は広がらないのだが、残念なことに、多くの人は、本能的に変化を嫌う。
会社や上司から、新しい仕事、新しいツール、新しいやり方にトライしてみることを命令あるいは薦められた時に、あなたはどう反応しているだろうか?
もし「それがうまくいかないと思われる理由」が、次から次に口をついて出てくるようなら、あなたも「ルーティーンに満足して、自分の可能性に自ら限界を定めている」という危険信号、と思った方が良い。