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【読書メモ】フェイスブックインパクト(高広伯彦ほか)

何にでも興味を持つ私の友人が、今から10年以上前に、アマチュア無線の免許を取ったことがある。その時、この友人から聞いた話が非常に面白く、今でも記憶に残っている。

誰かと交信してみようと、あれこれ周波数を合わせてみるのだが、彼の免許では、それほど遠くまでは交信できないせいもあってか、受信できるのは、どうやら近所に住んでいると思われるグループの交信ばかり。そこには「マドンナ」と祭り上げられているリーダー格の女性がいて、彼女を中心に、無線の機材や技術の話が毎晩、無線を通じて、延々と続くのだそうだ。

ソーシャルメディアやTwitter・フェイスブックについてネット上で交わされている会話を聞いていると、この話を思い出す。

確かにソーシャルメディアを活用したマーケティングやコミュニケーションの方法・戦略を考えるよりは、フェイスブックのファンページを作り方といった話の方が、遙かに簡単で、分かりやすいから、ノウハウ化しやすく、そして、サービスとしても仕立てやすい。

最近では、ソーシャルメディア専門の「代理店」--- 何を「代理」するのかはよく分からないが--- といった会社が表われて商売が出来ているのも、そうした背景があるからなのかもしれない。

一方、本書は、そうした「ノウハウ」が書かれた本ではない。というか、「フェイスブックインパクト」という題名のわりに、フィエスブックに特化して書かれていることは、それほど多くはないという印象を受ける。

実際、紹介されている事例も、フェイスブックありきの企画といったものではなく、マーケティングやコミュニケーション戦略の中で、ソーシャルメディアがどのように位置付けられ、更にその中で、フェイスブックやTwitterが、どのように組み込まれていったのか、といった話が中心である。別に、次世代マーケティングの担い手として、フェイスブックが礼賛されている訳でもない。

むしろ、本書を貫いている中心的なテーマは、著者の一人である高広伯彦氏が執筆した最終章にまとめられている通り、日本と西欧における「社会」と「個人」の関わり方の違いなどに注目しつつ、「そもそもソーシャルとは何なのか」「日本ではなぜ匿名利用が好まれるのか」「そうした土壌でフェイスブックが根付くための条件とは何なのか」といった点についての論考にある。

「ソーシャルメディア原論」といったタイトルの方が、本書の内容には合っているような気もするが、おそらく、それでは多くの人に手に取ってもらうことは難しいという営業的な判断もあって「フェイスブックインパクト」というタイトルが付けられたのではないだろうか。もちろん、これは勝手な想像だが。

そういう意味では、出版社が、この本に「フェイスブックインパクト」というタイトルを付けたくなってしまうところに、我が国の今日的な状況が端的に表れている、といったら大げさだろうか。

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