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【読書メモ】次世代マーケティングリサーチ(萩原雅之)

萩原 雅之
ソフトバンククリエイティブ
¥ 1,680
(2011-03-03)

本書の冒頭に『柔らかい個人主義の誕生(山崎正和)』からこの一節を引用した著者のセンスに、まずは脱帽。

"消費者の需要を探すこと、いひかえれば、現代社会の趣味を発見することが生産者の仕事になったとすれば、要するに、それは生産者が消費者の代表になったといふことであり、生産者が本質的に消費者と同じ仕事をし始めた、といふことにほかならない。"

今から20年以上前、学生時代に読んだこの本が、『マーケティング3.0』や『グラウンズウェル』で提唱されている「傾聴による消費者理解が求められる時代」の到来を既に予見していたのだという気づきを得ただけでも、読む価値のあった一冊である。

本書の大きなテーマは、今後、マーケティングリサーチは、「設問に答えさせて、そこから消費者の意見を吸い上げる」という"Asking"から、ネット上に残された人々の発言や行動から、消費者自身も気づいていない欲望、即ちインサイトをくみ取る"Listening"に進化していくという点にある。

そして、Listeningを可能にするのは、ソーシャルメディアの普及と、それを支える技術やデバイスの普及であり、既に、いわゆる伝統的な調査会社ではない企業が、マーケティングリサーチの領域に参入している。

これはソーシャルメディアの普及が、マーケティングリサーチというビジネスの「中抜き」を後押ししているということであり、『今後はリサーチャー自身もソーシャルであることが求められる』という、自らも経験豊富なマーケティングリサーチのプロである筆者からの提言は、それこそ「傾聴」に値するのではないだろうか。

また、最後の章では、日本のマーケティングリサーチへの投資が、先進各国に比べて著しく低いことや、更に、リサーチ業務の発注の多くが、企業ではなく広告代理店から行われているといった、我が国のお寒い現実が、データと共に紹介されているのも興味深い。

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