選挙のユーザーエクスペリエンス(UX)

最近、日本でも、ウェブサイトやアプリ、あるいは製品やサービスについても、UX(ユーザーエクスペリエンス)という観点から、その使い勝手やコンテンツ、サービスのあり方などを考えていこうという動きが、徐々にではあるが広まりつつあるようだ。

だが、先日行われた衆議院選挙を見る限り、選挙を管理する国や自治体はもとより、政党や候補者自身も、有権者に対して最良のUXを提供する、という考えはまだまだ希薄なようだ。まあ、ネット広告などを見ても、ユーザーの興味や関心などお構いなく、商品や製品の名前や画像をひたすら連呼し続けているものがまだまだ多いことを考えれば、これは致し方ないのかな、とも思うが。

しかし、今回、史上最低と言われた投票率を高めていこうとするなばら、「有権者の意識」に訴えるだけではなく、政府・政党・候補者たちも、どうすれば、有権者に対して最良のユーザーエクスペリエンス(UX)を提供できるのか、ということを考えていく必要はあるだろう。



2014.12.21 日本経済新聞
衆院選の低投票率 主因は中高年

たとえば、こちらの記事を見ると、近年の投票率低下の主因は若者よりも、むしろ中高年が投票に行かなくなっているためであるという分析が紹介されている。特に興味深かったのは「投票所まで5分未満の場合、投票率は82%だが、20分以上かかると、52%まで低下する。」という一節だ。

高齢者に対して、ネット投票がどれほどの効果を持つかはわからないが、ともあれ、『投票しやすい環境』を整備しないと、人口の高齢化と共に、投票率が下がり続ける可能性がある、という点は注目に値するだろう。

また、政党や候補者のUX改善に向けた取組みにも期待したいところだ。

実は今回、地元の選挙区で小選挙区に立候補した候補者が、選挙広報などを見ても、議員定数削減に関する立場や考え方を明らかにしていなかったので、選挙期間中に、各候補の選挙事務所に電話をかけて聞いてみた。もちろん、応対したのは、候補者本人ではなく、事務所のスタッフなのだが、各候補者からの回答・対応は以下の通りだった。

長妻昭氏(民主党・当選):
「即答できないので、確認して電話をかけ直す。」(12/21時点で回答は無し。)

松本文明氏(自民党・比例復活):
「議員定数削減よりも優先順位の高い課題が多くあるということ。」

太田宣興氏(共産党):
サイトやFBページを見ても選挙事務所の連絡先がわからず電話を諦める。

吉田康一郎氏(次世代の党):
「良く分からない。申し訳ないが、分からない。」

選挙事務所に電話をかけて意見を聞いてみるということを初めてやってみた訳だが、政治家や候補者が、一番、有権者にフレンドリーになると思われる選挙期間中でさえ、この程度の対応なんだなぁ、というのが正直な感想だ。

もちろん、一度のテストで結論を出してはいけないのだろうが、少なくとも、今回の選挙では、一人の有権者として、政治や選挙に主体的に関わってみることで、これまで見えなかったものが見えてくる、と感じさせるような「エクスペリエンス」を体感することはできなかった。

ちなみに私は、今回の衆議院選挙で投票には行ったし、一般論としては、投票という権利は、行使しないよりは、した方が良いとは思っている。それでも、政府や政党・候補者は、選挙における有権者のユーザーエクスペリエンス(UX)を高めることに、もっと努力しても良いだろう。

calendar
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      
<< December 2017 >>
selected entries
categories
archives
books
links
profile
search
others
mobile
qrcode