ワークとライフって本当に「バランス」させられるの?

ちょっと時間が経ってしまったが、何ヶ月か前に日経新聞に掲載された就職特集を読んで、どうにも解せないところがあったので、思うところを書いてみたい。

就職人気ランキングが、おそらく「キミ達が知ってる日本の有名企業ランキング」とほとんど変わらないだろうというのは、まぁ、昔も今も一緒だから良いとしよう。(でも、後先を考えず、有名だっていうだけで、有効求人倍率が0.5倍くらいしかない大企業に誰も彼もが殺到するのは『沈んでゆくタイタニック号の1等船室に乗り込もうと競争しているようなものだ。』という意見もあるので、よ〜く考えた方が良いとは思うけど。。)

そして、どうにも解せなかったのは『重視する就職観』として『生活と仕事を両立』と答えた学生が男女とも最も多かったというアンケートの結果。だいだい、みんな、どういう状態になったら生活と仕事が両立したと言えるのか、本当に分かって言ってるのかなぁ。

やり甲斐も何も感じられない仕事だけれど、毎日5時きっかりには退社できる仕事。時間を忘れて残業しちゃうので、体はキツイけど、とっても楽しい仕事。心身ともに激しいストレスを受ける激務だけど、同世代の連中にはとても稼げないような金額がもらえる仕事。

などなど、仕事には色々あるわけで、しかも、そういう状況の中で、仕事をしている時間と、それ以外の時間の、どちらに楽しみを見つけるか、これは人それぞれだし、そもそも、ゼロか100かという話じゃないはずだ。

でも、そういうことは、仕事をしていくうちに、そしてまた、自分自身の気持ちや環境の変化によっても変わっていく。だから、実際に働いてみなきゃ、『オレ(アタシ)の生活と仕事は両立しているのか?』なんて、分かるわけはないのだよ。

もちろん、仕事はお金のためと割り切って、趣味に生きる人もいるだろう。それはそれで結構。一生のうち、かなりの時間を費やす仕事に楽しみを見いだせない人生というのが、どこまで幸せなのかな、と思わないではないが、それはそれで、一つの潔い選択ではある。

しかし、である。同じアンケートを見ると、仕事をしたい企業を選ぶ時に重視するのは『仕事が面白く』て『規模が大きい』とある。

なるほど、だんだん読めてきた。つまり、みんなが探しているのは「絶対に潰れない会社で、自分がやりたいと思う仕事だけをさせてくれる会社」ってことじゃないのか?

うーん、まぁ"Good Luck"とだけ言っておこう。(苦笑)


新卒で外資やベンチャーに入るのはお薦めしない

私の会社にいる学生インターンは、東大・早稲田・慶応などの理工系の学部生・大学院生が中心だが、みなとても優秀で、就職難と言われる中、数社から内定をもらう。このため学生からは「どこを選べばよいか」という相談をよく受ける。



私は、最初の会社がどこであっても、その後の何十年というキャリアには、大したプラスもマイナスも考えているので、そういう意味では、本人が面白そうだと思える会社なら、どこでも入ってみれば良いと思っている。学生にも、聞かれればそう答えている。

ただ、同時に、もし選択肢があるのなら、外資系企業やベンチャー企業は避けた方が良いともアドバイスしている。その理由はただ一つ。いわゆる日本のトラディショナルな企業に比べて、社会人としての「基礎訓練」を受けられるチャンスが限定されるからだ。

ここで言う「基礎訓練」とは、社会人としての立ち振る舞いやマナーを身につけるためのものだ。たとえば、言葉遣い。最近、私のところに営業に来る若い人には、人の話を聞きながら「なるほど、なるほど〜」という合いの手を頻繁に入れる人が少なくない。これがどんなに失礼に聞こえるか、多分、本人は全く分かってない。

また次のステップとして、「上司を連れてくるので会って欲しい。」ということを言うのに『上長にお会いして頂きたい。』という表現を使う人も多い。これじゃ、威張ってるんだか、へりくだってるんだか、全く分からない。

前のエントリーで書いた通り、トラディショナルな日本企業には、組織的にも制度的にも色々と問題はある。だが、こうした企業には、やはり一定レベルの教育を受け、そして相応の経験を積んだ大人達がたくさん集まっている。もちろん、中にはどうしようも輩もいるが、それでも、尊敬すべき「先輩」に会える確率は高い。

こういう会社で、もし上司と一緒に客先を訪問して、先のような言葉遣いをしたら、「お前、いったい学校でなに習ってきた?」と、喝を入れられるだろう。そうやって、クソの役にも立たない学生が、まがりなりにも、ビジネスをして、お金を頂けるように鍛えられていくのだ。

だが、新卒で外資やベンチャー企業に入ってしまうと、どうしても、こういう「基礎訓練」チャンスは減ってしまう。

まず外資の場合、人事部というのは、採用や福利厚生のプロセスや制度作りをサポートする裏方であり人事権と予算は部門長が掌握しているケースが多い。つまり、採用した人材は、「会社」のものではなく、「部門」のものなのである。また、外資の場合、数年間経験を積んだら、他社に転職してキャリアアップを狙うことも常態化しているため「こいつを一人前の大人にしてやろう。」という考え方も希薄である。

一方、日本企業の場合、ベンチャーであっても、存外、人事部がリードして、中長期的な教育研修を行うなど、制度的にはトラディショナルな日本企業を模倣しているケースは多い。だが、ベンチャーの場合、決定的な問題は、見習うべき「先輩」が決定的に少ないことだ。

以前、あるネット系ベンチャー企業の方と会食をしていた時に、「ウチは34歳が最年長ですから。」といわれて、思わず「平均年齢ですか?」と聞き返してしまった。もちろん、技術ベンチャーの創業者が若いプログラマーであっても良い。経営陣が若くて未熟であっても、ビジネスモデルが秀逸なら、会社は成功することもあるだろう。

頑張れば、(そして運が良ければ)数年後に莫大なストックオプションをもらえる可能性があることを期待して、「勤め人」としてベンチャーするのも一つの選択肢だ。

だが、もし、世間並みの「給与」をもらって働くことが前提なら、できるなら、きちんと後輩を教育できる先輩について、雑巾がけから始めた方が、遙かに得るものは多い。ベンチャーしたいなら、きちんとした「基礎訓練」を受けた後から、起業をしたって遅くない。

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